常に空間の質を言い表す文字、言葉を探している。

 

職人との意思の共有は図面という技術だけではない。

 

対話、という形で伝達行為がとれるのであれば、言葉を必要とする。

 

部材の仕上げ具合のことを、その大工さんは「味」として理解してくれた。

 

伝わった、と安堵した。

 

目指すものが、誰も見たことないものなのに、共有などできるわけがないのだ。共有したいのは、こちらの意志なのだ。意志を伝え、職人の腕を活かし、こちらの思い描いたものより何段も質の高い空間を目指すだけだ。

 

そこにはきっと感覚を揺るがす空気が待っているはずだ。線に込めた思いは、使う人、訪れる人にも届いてほしい。と願いながら。