基準

空間に身を置いたとき、見えない線を見つけることが最近の楽しみである。

 

対称性であったり、連続性であったり、無意識の内に目に見える心地よさだけを味わいがちだが、その心地よさを生み出す本当の核にあるもの、それが基準線であるからだ。

 

その基準線は、時に交わり、時にはねじれの関係にあり、複雑に空間の中に溶け込んでいる。

 

複数の空間構成が求められ、それらをコネクトする案件においては、その結節点なる場所で設計者が何を考えるか、何を伝えたいか、どういう思いで1本の線を引くかが肝となるのだろう。

 

オペラシティのある展示の映像空間と写真展示空間の結節点には、人間がすれ違える最小寸法を守った上で、暗い内部と明るい外部との認識の上、上部を円弧で切り取り、明るい空間の作品と呼応させた入口(出口でもある)がある。

 

映像を見る椅子が向けられた方向とはベクトルが異なるので、しらないと気がつくことすら難しいかもしれない。また視対象との距離を確保せねば見いだせないのも惜しいところだ。ただそのような「含み」程度の背景に馴染んでいることが今回の主題であったので、その割り切りが設計者の判断であろう。

 

良い展示だった。

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