明治神宮宝物殿、1921年築。
2022年11月訪問。
伊東忠太監修、大江新太郎設計、佐野利器構造のスーパーエリートによる建築。
たまたま散歩で行くと、展示会期中により中まで入ることができた。
朝鮮からの影響を柱の胴張り、軒と棟の反り上がりに見ながら、柱の隅延び、内転びを避けて末広がりの壁バリュームを編み出し建物に安定感、定着度をもたらした大江のナイスアイデアを体感。高床や校倉造、組物のような日本要素もあり、全体としてまとまりのよい日本的建築物。
翼廊の末広がりの壁により、斜めから入らざるを得ない。建物全体構成と拝観者動線の不一致を起こしてまでも、日本的にすべく避けた朝鮮要素への態度が潔く、妻側から入らず、ゆらゆらと平入りで味わえる空間体験も良い。
内部に入れること自体嬉しいのだが、天井の曲面の力強さと包容力にしてやられる。
構造自体RCなのでそもそも柱間間隔が構造体として外部に表出しなくともいいわけだが、中央の尺を長く取った7間のファサードと、水平線を強調した校倉風目地取りが醸し出す外殻に対し、妻側のゴシック、バラ窓的要素や起り曲線と格天井のコラボレーションが魅せる内殻の豊かさ。
門、右翼廊、展示室、左翼廊の4つのボリュームと2種の床高さだけでこれだけの空間ができてしまうのか。感嘆。
伊東忠太が嫌った照りむくりを渋谷で2点。
田邊博司のNWSビルと鈴木エドワードの宇多川派出所。