デザインされた室内をさらに被覆する所作はある意味で非対立的であり、そもそもの内装部位が新規と仕方なく併存する材料に成り下がるわけでもない。
既製家具選定、造作家具の仕様において、CMYKの解像度と適正レイアウトによりもたらされる一室空間の階調を、それぞれの被覆壁にまで浸透させ、テクスチャと各部位の取り合い処理の詳細まで通底させている。
施主の細やかで洗練された対立的な色の切り替えがむしろ建築部位と家具において調和し、全体の量感のコントロールがなされた。
元々の内装は、鏡面による反射という現象を「空間に広がりをもたらすこと」と「反射の有無による壁と鏡の対立構造を配置すること」に生かし、そこに過度な精密さを持った割り付けが全体のバランスを成立させていた一方で、それらを隠すことで精密さを避け(割り付けない)、整う感覚になり得る閉合も避け(部位のラインを揃えない)、程よい抜け感を持ったインテリアを好まれた施主。隠すことで非対立的な表現になるがゆえ、対立的に仕上げ方を決め、隠れてしまう要素(鏡面仕上げ)は既存とは異なる使い方(巾木の延長と床の投影による家具の浮遊感)であえて対立要素として出現させ、新規内装壁と合わせて計画した。
完成された改修工事をたった1ヶ月で塗り替えてしまう、既存との非対立的共存感覚をディテールまで施主と共に考えられたことはとても喜ばしい。
ミーティングテーブル天板: アイカ/K-6005KN
天板小口:パネフリ工業/SC40-3052
白壁:3M/PS-957
床:スミノエ/LX-1904
茶壁、巾木:ニヤトー無垢+和信化学工業/アクレックス/水性ステイン/オリーブ+カラーマックスエコW/水栓ウレタン艶消2回
プレート+器具:Panasonic/WN3852+WN1001MCW
トグル:Panasonic/WD1011F/単極単投式
家具白ポリ:アイカ/C-6000KN+RK-6000
ステンレス曲げt1.0,#800
家具ホワイトオーク無垢:ステイン調色+1-UC/艶消1回